2010年11月20日土曜日

中・日の古典を並べて読む

二年に一度講義するクラスを担当している。いまから十年近くまえ、半分気の向くままに企画したもので、それがそのまま定着してきた。クラスの定員は30名(来年度から32名に)、中国と日本と二つのコースを修得する学生を一つの教室に集めて、英語の翻訳による中国と日本の古典を並べて読む。来年の冬学期には、このクラスの5回目の講義となる。

毎回は違う作品、あるいは「今昔物語集」のような大部の作品からは違うストーリを選び、読む内容をすべて入れ替える。したがって、学生たちと新鮮な気持ちで古典を英語で読んでみるという、自分にとっても少なからぬの悦びが伴われるものだ。作品選びには漠然としたテーマを持たせ、三年前は「武士」、去年は「男女や家族」、そして来年は「神と鬼と霊魂」。作品を決めるためには、それがすでに英訳され、出版されていることが一つの前提になる。古典の一級作品がすべて英訳されるにはほど遠いが、それでも抜粋なども含めて、学術的、あるいは趣味本位な訳が数多く、選択の余裕も十分に大きい。今年は、これまでと比べて枚数の多い作品を選んだ。約二週間の読書を経て、そのリストをようやく決め、しかも学生たちが使いやすいように一冊の教材ノートに仕立てるという作業までほぼ完成できた。

この講義では、毎回は一点の新しい中国の画巻を取り上げることを心がけてきた。今度は、あの屈原の詩「九歌」を描いたものだ。詩とあわせてじっくりと読む、若い学生たちの初々しい感性を注意深く観察し、吸収する。楽しみだ。

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