2011年7月3日日曜日

「亰都大学」は不思議

京都にやってきた。勤務校で研究休暇をもらい、これからは京都でじっくり腰を下ろして静かな研究生活を送る。前回、ここに長く滞在したのはちょうど十一年前。わくわくしている。

まずは、周りを見て歩くことから新しい暮らしを始めた。そこで、すぐ目に飛び込んできたのは、京都大学桂キャンパスだった。開校して8年になったと聞くが、実際にキャンパスの様子を眺めるのははじめてだ。そこで、ちょっぴり唖然とした思いに打たれた。大学の看板には、110703「亰都大学」と掲げられている。それもいくつかの入り口にはどこも同じ書体のもので、れっきとした公式デザインだと知る。もちろん印刷書体ではなく、どなたか著名な書道家の文字に違いない。ただ中国の流儀と違って、揮毫した書家の名前までは記入されていない。大学の公式サイトで調べてみても、大学のマークやエンプレムについての規定が載っていても、これについての説明がない。この「亰都」という文字の選びは、なんとも不可解だ。というのも、この「京」の異体字は、明治政府が江戸を東京と名前を変えた時に用いた文字で、それも「けい」と読ませていたとのことが広く知られている。ここでは、まさか「けいと」と読ませる気持ちなどないはずだ。いずれにしても、そのような歴史的な経緯があるのだから、それを無視すれば、どうしても軽率な批判を否めない。あるいは京都大学の歴史にかかわるなにかと隠された事実や由来があったことも想像できるが、そうなれば、それを意図的に復元したのだから、広く説明して知らせるべきだろう。

学生生活から数えて、最初の京都生活からすでに30年近くの年月が流れた。変わり続ける京都、千年の年輪をしっかりと保っている京都、バランスのよい魅力に溢れる古都をめぐり、あらたな探検をしてみたい。

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