2013年5月12日日曜日

パノラマの東京

三日ほど前、仕事で東京にやってきた。露入り前の東京は、気候が最高だ。時差ぼけのまま、朝早く起き、歩き出して近くの小高い山に登った。東京都内のビル群を一目に見られるその眺めは、じつに素晴らしいものだった。

時はまさに朝の靄が消えかけたころだった。遠く見られるビルやタワーなどランドマークの建物の姿は刻一刻と変わり、おぼろげなシルエットがあっという間に鮮やかな輪郭に取り替えられた。数日まえ、ラジオ番組から楽しい耳学問が得られた。それによれば、東京都内から富士山が見られる日にちは、いまや年間百二十日前後だとのことである。この数字は、大気汚染が問題だった六十年代の倍近くに当たるだけではなく、驚いたことに、明治時代よりもじつは三分の一ぐらい多い、との結論である。そのような数字を思い出しながら、しかしながら目の前の様子では、とても富士山眺望など望めそうにないことに気づいた。東京にはきっともっと爽やかな天気があるとのことだろう。

130512一方では、今のデジカメ、とりわけ小型のそれは、ふんだんなデジタル処理を加えながら画像を記録することに力を入れて、それの代表格の機能は、いわゆるパノラマ撮影である。複数の画像を自動的に繋ぎ合わせたもので、自ずと人間視力の範囲を超えたものを一枚の画像に取り入れてしまう。画像としてはそれなりに望ましいものだろうけど、自然のパノラマは、やはり一目で見られるものに限る。同感が得られるだろうか。

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