2015年6月12日金曜日

中国語による講義 (6-6)

若手の研究者に招かれて、西安にある交通大学にやってきた。大学名に交通と名乗ることは、今日の語感からすればどこか落ち着かないが、中国ではここはかなりの歴史をもつ、りっぱな重点大学だ。理学工学が中心のところだが、それでも日本を対象とする学科は今年設立30年の祝賀行事を終えたところで、しっかりした組織と熱気あふれる学生たちの顔ぶれを実際に目にして、すくなからずに感心した。

招かれてとり行う中心的な行事は、学生たちを相手に一時間半ほどの公開講座をするというものだった。夜七時半の時間台を用いたもので、意外とかなりの人数の若者が集まってきてくれた。しかもその構成をみれば、日本のことを勉強する若者の割合はけっして大きくなかったことには、これまた驚きだった。こちらから用意したテーマは、やはり絵巻だった。あまり予備知識を持ち合わせていない若者たちに向かって、中国の、とりわけ古代からの伝統を大切するという意味で近年大いに注目を集めている画巻などを意識的に持ち出したりして、話す内容を身近なものにするように心がけた。一方的なおしゃべりのあと、質疑応答は三十分も続いていて、しかもかなり要を得た鋭い質問が飛び出したりして、大いに手応えを感じた。中国語による公の場における発言は、これで去年の秋に続いて二回目。肝心なキーワードをどこまで聞く人々の共通の理解に入っているのか、はなはだ心もとなく、話すほどに、さらに時間と精力を出して取り掛かるべきものだと感じた。

20150606講座の録画は、いずれは大学の公式サイトにおいて公開する、という枠組みになっている。それへの準備として、主催者は大きなカメラを複数持ち込んだ。ただ、これまでの記録を見れば、どうやら即時にということにはほど遠く、これまでの行事も、その多くは公開が実施されていない。それに講座について用意して提出した紹介文も、微妙に手入れされていて、読み直しの確認は求められていない。はたしてどのような形でインターネットに登場するのか、とても興味深い。

“学而”讲坛——教授系列讲座第334讲

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