2017年11月18日土曜日

DHを語る

金曜日には、ややユニークな研究会が開かれた。ワークショップと名乗り、長年の同僚三人がそれぞれ30分の持ち時間で発表をした。ともに中世の文献を対象にするが、それぞれの文献の言語は、英語とスペイン語と日本語。しかも発表者はともにデジタルのアプローチを試みて20年以上の経験を持ち、なかでわたしのほうが一番キャリアが短かった。

わたしのテーマは、最近作成した「デジタル展示・からいと」を取り上げ、IIIFのアプローチを解説しみてた。IIIFのことはまだまだ知られていなくて、とても高い関心をもって迎えられた。それにしても、それぞれに続けられてきた九十年代からのアプローチとは、はたしてどのようなものだろうか。英語とスペイン語の二人の方の場合、ともにデジタルというツールを活かして、肉眼では識別しづらい、あるいはできないものについての発見に重きを置いている。いまや標準的なものになったが、かつては予想もしなかった可能性を感じさせた画像処理技術の利用やその成果が語られた。それから、個人的にあらためて印象を覚えたのは、デジタル研究と在来の研究との接点や融合に努力を惜しまなかったことである。デジタルの方法で得た知見は、いずれもしっかりと紙媒体の出版物にし、そしていろいろな規模の研究助成を長年にわたって受け続けている。北米の大学でのデジタル研究にまつわる状況の一端が垣間見る思いがした。

研究会に集まる場として、大学のデジタル図書館の中に位置する「ビジュアルスタジオ」を選んだ。椅子を30脚程度しか入らない小さな部屋だが、壁一面がスクリーンとなっている。すでに四、五年まえから利用できるようになったものだが、横四メートル、縦身長以上のスクリーンの前に立ち、それも手でタッチしながら話を進めるのは、自分にとってはじめての体験だった。人間よりも大きい、しかしけっして映りに負けない奈良絵本の画像を見せて、かなりのビジュアルインパクトを提示したと思う。

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