2018年4月21日土曜日

教壇に立つ

四月も下旬になり、日本の大学は春学期の二週目の授業に入る。今年は、協定校の関係で客員教授のポストをいただき、今学期いっぱい日本に滞在することになる。大学院時代のことを計算に入れないとすれば、はじめて日本の大学の教壇に立った。

ホスト大学からはかなりの信頼を寄せられ、大きなクラスも担当させてもらっている。いうまでもなくすべては勉強の内容となる。機会を見つけては若い学生たちとの会話を楽しみ、かれらを思考や行動を観察し、自分なりに理解しようとする。そもそも大学のカリキュラムからにして、新鮮なものだ。学生たちが取り掛かるテーマはカナダより遥かに多い。単純に計算すれば、学生は20単位のコースを四年間取り続ければ卒業できるという制度だ。ならば、クラスに週計15時間通い、10人の教師の話を聞くことになる。勤務校の場合、クラス時間はちょうど同じだが、しかしテーマはその半分だ。すなわち5のクラスで、場合によって同じ教師に週3回も4回も顔を合わせることになる。考えによっては、この差はあまりにも大きい。さらに日本の場合、習得するコースは学費と関わりを持たないので、学生側の自由度が高く、学習意欲により直結できるように思われる。

最初の週を無事にこなした。素直な学生たちの対応には、やはり微笑ましい思いをかずかず体験できた。何人もの学生は、二回目にしてはじめて教室に現れたことを謝り、その理由を口々に「抽選漏れ」と言った。どうやら取りたいコースには抽選で資格が得られず、やむなくこの教室に入ったとのことだ。クラスについてのコメントを書いてもらっても、予備知識はいっさい持っていない、これから努力するという約束が多かった。教養のコースなので、ここからの出発はむしろその前提なのだ。それにしても、このような時のカナダの学生ならまったく違う態度を取るものだなあと、ついついそのようなまったく違う立ち振る舞い、いや発想に想像を走らせたものだった。

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